『ノルウェー/ フィヨルド・ベルゲンの旅』ドロッペさんのハーデソーブラー

2016年03月14日 category:ノルウェー特集 | 北欧コラム

hadetsabraヘッダー春

 

こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。春が待ち遠しく、北欧コラムのヘッダーも春バージョンに変えてみました。
さて、今月は【ノルウェー特集】ということで、このコーナーも「ノルウェー/フィヨルド1日ツアー」をお伝えします。ドロッペさんが見たフィヨルド、どんなところ?そして伝説の妖精トロールはいたのでしょうか!?

 

春から夏へと向かう5月の終わり、ノルウェー第二の都市ベルゲンからフィヨルドツアーに行く機会に恵まれました。
中学生の頃、地理の授業で出てきた“フィヨルド”。教科書の文章で読んでも想像がつかず、お恥ずかしながら地図上で見るリアス式海岸の大きいバージョンか?くらいの認識でした。地理的にも精神的にも遠い遠い異国のことだと感じていて、大人になってこの目で確かめることになるとは!露ほども考えなかったことです。

もう一度、復習してみましょう。“フィヨルド”とは、数万年にも及ぶ長い長い時間をかけて、厚さ1000mを超える氷河が自分自身の重みで河床を削り、ナイフで切り裂いたような鋭いU字の谷を造ったものです。氷河期が終わると、海水が入り込み入り江/湾となったものを言います。

私が行ったのは、ノルウェー最長のソグネフィヨルド。その長さは200km、ノルウェーの内陸部にまでおよびます。雄大な河のように見えますが、湾の長さが200kmですから、途方もない自然の力を感じます。(※200kmの距離は福岡中心にすると釜山、広島くらいまでの距離です。)

 

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7時半すぎ、オスロ行きのベルゲン鉄道に
乗り込みます。(左の列車)
  さっそく車窓はフィヨルドです。

 

 

出発はベルゲンからオスロ行き、ベルゲン鉄道での移動です。約2時間、内陸部に移動する毎に車窓は冬へと逆戻りするかのように変化し、これから姿を現すフィヨルドへの期待が高まる移動でした。5月末とはいえ、まだ冬の名残を感じるミュールダールで下車し、ここで観光路線“フロム鉄道”に乗り換えます。フロム鉄道もまた、世界一急な勾配として有名で、鉄道ファンならずとも、テレビで見た、雑誌で見たという方も多いかもしれませんね。

 

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ベルゲン鉄道内の売店   カフェつきの車両もあります。

 

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車窓は雪山の景色に。   標高も高くなってきました。
まだスキーが出来そうです。

 

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ミュールダールに到着。
観光列車フロム鉄道に乗り換えます。

 

全長20km。世界一急勾配の鉄道「フロム鉄道」
息をのむ美しい景色の連続です。

 

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ショースフォッセンの滝で停車。
ホームで“森の妖精・フルドラの舞”を観る。
この滝の水力発電でフロム鉄道は走っている。

 

フロムに到着。
世界中の鉄道ファンの憧れフロム鉄道は、
線路を走る馬「フィヨルドポニー」の愛称で、
ノルウェーの宝とされています。

 

フロムへ到着し、フィヨルドクルーズの前にランチを頂きます。“フレットハイムホテル”でいただいたこのランチは、忘れえぬ味となって今でも鮮やかに蘇るほどの美味しさでした。この日は地元野菜とキャットフィッシュ(なまず)のホワイトソース。これこそが大地の恵と感じる地強さと、必要以上に飾らず足さず滋味豊かな味わいが、ノルウェーの誇りのように感じたのです。

 

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ふわふわのキャットフィッシュ
アスパラガスの太さに驚く。
  ホワイトチョコとサワークリームを滑らかに
合わせたデザート。
勝手に“フィヨルドクリーム”と命名。

 

 

さてさて、フロムからはいよいよフェリーに乗船しフィヨルドクルーズへ。
5月の終わりでも風が冷たく、心地よいというよりかなり寒かったです。そして乗船してからは、無数のカモメが手にとまりそうな勢いで、どこまでもついてきます。しばらく主役はカモメに持っていかれ、大人も子どももフィヨルドどころではないのですが、目的を忘れてはいけません。教科書でしか知らなかったフィヨルドにいるのですから。

クルーズ船は、ソグネフィヨルドの支流、“アウルランフィヨルド”から“ネーロイフィヨルド”に入りました。湾の幅は250m。世界で最も狭いフィヨルド、世界遺産です。水面からいきなり1000m級の山々がそびえ、壁のように迫ります。この山肌こそ氷河が削った跡なんですね。山のあちらこちらからは、雪解け水が無数の滝となってフィヨルドにそそいでいます。清らかな波ひとつない水面は、鏡のように山や雲、鳥、すべてを映し、心も洗われるように澄んでいます。時々、イルカやアザラシを見かけることもあるそうで、海水の湾であることがわかりますね。

この美しい景観が出来るまでの遥かなる時間を思うと、人間の傲慢さを恥、自然の前では抗えず、ただただ無力なのだと感じずにはいられません。
目に見える範囲だけでも、ここになにか魔力のようなものが潜んでいる気配を感じます。これがノルウェー伝承の妖精“トロール”でしょうか。「ここから先は触れるな!」と警告を発しているように、人間界とは一線を画した美しい世界がどこまでも続きます。

 

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こっちに乗りたかったが、まにあわず・・・   小さい方の船で。

 

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手にとまりそうなカモメの群れ   海からいきなり山。
これがフィヨルドです。

 

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無数の雪解け水が滝となり、
フィヨルドに注ぎます。
  うわさのトロール。

 

フェリーはグドヴァンゲンに到着し、ここからヴォスまでバスで移動します。急なつづら折の山道をぐるぐると登ります。頂上に忽然と姿を現す“スタルハイムホテル”で小休憩。ここの売店に、いました!いました!トロール。かわいいというより、ちょっとこわい!?ですよね。
ノルウェーでは、なにかモノがなくなったりすると「トロールのいたずら」と言われるそうですよ。
休憩を済ませるとバスは、ぐるぐると下りヴォスを目指します。1時間半、ずっとぐるぐるの山道ですが、景観がすごすぎてバスに酔っている暇などありません。

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ベルゲン駅の時計は20:40。
まだ昼間のように明るい。
  夏を告げるライラック。

 

早朝ホテルを出発してから、なかなか終わりの見えないフィヨルドの旅ですが、いよいよ最終移動。ヴォスから再び列車に乗り、ベルゲンへと帰ります。
21時前、ベルゲン到着に到着。空はまだ青く陽が差していて、薄紫のライラックが木漏れ日を作ります。長い長い一日。トロールにいたずらされて、一日が終わらないような気がしてきます。夕食をすませてホテルに帰ると、ふかふかのベッドに体を横たえ、心地よい疲労感に包まれました。
目に焼きつけた美しい景色、そして今日出会った人たちを思い出しながら目を閉じます。
この土地の人たちのもてなしや温かさは、自然なふるまい、穏やかな笑顔となってにじみ出ていて、大いなる自然の中で、守り守られながら共存しているように感じます。人もフィヨルドと一体となって、訪れる旅人を迎えるのです。
いつしか気づけば、私の心からも波風は消え、景色に人に癒され、ゆっくりと心も体も浄化されていた、そんな旅となりました。

次回は、ベルゲンの様子をお伝えします。
お楽しみに。

 

投稿『ノルウェー/ フィヨルド・ベルゲンの旅』ドロッペさんのハーデソーブラー海外旅行保険 の最初に登場しました。

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