特集:ドバイ 

2012年09月24日 category:ドバイ特集



Dubai – Desert Safari – 34 / Kyle Taylor, Dream It. Do It. World Tour

機内で隣に座った老人が
しきりに話しかけてくる。
僕は、うとうとしながら相槌をうち
どちらかというと無愛想に接した。

しばらくすると老人は、夢に出てきた。
彼は白いアラブの服を着て
自信たっぷりに講義をしている。
テーマは「会えない人に会う方法」。
砂漠に寝転んで夜空を仰ぐと
願いが叶うのだという。

僕は砂漠を見るなり駆け出した。
砂だらけになった靴を脱ぎ捨て
褐色に染まりゆく大地で、大の字になる。
この、ためらいのない僕に
星空の君は、気付いてくれるだろうか。


 
 
camel in dubai / dave watts Dubai – Russian connection / novocortex
Atlantis, Dubai / Sarah_Ackerman Dubaï – 31 / Isabelle + Stéphane Gallay

砂漠にはヒメノカリスという花が咲く。

細い花弁が放射状に広がることから、別名はスパイダーリリー。その美しい姿で世界中の人を捕えてしまおうというのだろうか。この花は、ドバイが誇る世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」のモチーフとして、今日も凛々しく空に向かっている。

アラブ首長国連邦の中でも殆ど石油が採れず、金融や観光などの脱石油ビジネスで発展してきた国、ドバイ。828mのブルジュ・ハリファをはじめ、無人運転のメトロ、噴水、ショッピングモールなど、とことん「世界一」にこだわり、瞬く間に近未来都市をつくり上げてきた。

そんなドバイも、中心部を離れると全く違った表情をみせる。木製アーケードのスーク(市場)に息づくのは、交易の場として栄えたかつての面影。シティに背を向け内陸へ進めば、一面に広がる砂漠があなたを招き入れる。そして街の喧騒をものともせず、夕日はゆっくりと砂の世界を染めていく。

ヒメノカリスの花言葉は「魅惑のささやき」。
たまには未知の国に惑わされて、旅立ちを決めるのも悪くない。

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