遺跡を呑み込む!アンコールのガジュマル

2013年03月27日 category:カンボジア特集

Extraordinary Tree-Growth
Extraordinary Tree-Growth / mklapper

それは「コラボレーション」と呼ぶには、あまりにも歪(いびつ)な光景です。

シェムリアップから車で30分ほど走ると、アンコール遺跡群のひとつ「タ・プロム」に到着します。そこに広がる衝撃シーンがこれ!遺跡にガジュマルの樹木が覆いかぶさり、まさに呑み込んでいる最中といったところです。別名「絞め殺しの木」とも呼ばれるガジュマルは、がっしりと遺跡を抱え込み、根を張って離しません。

この「絞め殺し」という現象は、ガジュマルのように熱帯林に生息する樹木が生存競争で勝ち残るために持っている特徴のひとつで、他の樹木を借りて発芽し、そこから根を地面まで垂れ下がらせて成長するものです。そして最終的には宿にした樹木を枯らしてしまいます。物騒な呼び名の通り、サバイバル感に満ちた樹木の姿なのです。

 
Cambodia0047.jpg / lekphoto26
Ta Prohm / Damien @ Flickr

ガジュマルが発芽した遺跡は、その成長につれて重みに耐えかねて倒壊したり、朽ちてしまうなどの深刻な影響を受けます。引き剥がそうとすれば遺跡もろとも崩壊する危険性があるので、もはや共存の道しかなく、いたるところで補修工事が重ねられています。遺跡と植物が織り成す「静と動」。意図して造られたものではないだけに、訪れる者は圧倒され、畏れをなすのです。

ガイドブックではこの光景を「自然による破壊」と記していることもありますが、地球上の生命すべてに想いを馳せるとき、遺跡があるから邪魔をしないでくれというのは人間の思い上がりかもしれません。都会のビル群がガジュマルに侵食される日が来たとしても、それは何ら不思議なことではないと諭される、そんな場所です。

長旅の末に、このアンコール遺跡群を最終地点として選ぶ人も多いのだとか。煮えたぎるような生命力を見せ付けられるタ・プロム。訪れるあなたに巡るのは、果たしてどんな思いでしょうか。

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