インド人は虫歯にならないのか?
2012年12月17日 category:インド特集
とっても甘いインドのおやつ 「ジレビー」
Merry Christmas, Indian Way! / Koshyk
豊富な香辛料を巧みに操り、飽きることなくスパイシーな料理を食べ続けるインドの人々。
そんな激辛生活の反動なのか、インドスイーツの甘さは尋常ではありません!例えば、伝統菓子の「ロッソゴッラ」。これはミルク味の生地を丸めてシロップ漬けにしたものですが、一口噛むとスポンジに染み込んだシロップがほとばしり、口内をとんでもなく甘い世界へと誘います。この他にも揚げドーナツのシロップ漬け「グラブジャムン」や、ミルク風味の半生菓子「バルフィ」など、インドではシロップや牛乳を使ったスイーツが多いのが特徴です。
牛乳の多用はインドの宗教とも深く関係しています。インドでは国民の約8割がヒンドゥー教徒。牛を聖なるものとして崇めるお国柄で、不殺生の戒律により牛肉は食べません。しかし命を奪うことなく得られる牛乳は神からの恵みと捉え、むしろ積極的に頂戴するのです。牛乳は辛い料理がまだ食べられないインド幼児の貴重な栄養源としても重宝されています。
spice_1 / srqpix
それにしても、大半がシロップ漬けのお菓子なんて、すぐに虫歯になってしまいそう。でも、インド人は虫歯が少ないことで有名なんです。その理由は「歯磨き」をかなり念入りに行うから。食後であれば道端でも列車の中でもお構いなし。いたるところに歯磨きをする人がいます。特徴的なのは、歯ブラシではなく「ニーム」という木の枝を口にくわえている人が多いということ。ニームは日本でも害虫除けの木として知られていますが、その薬効をインドでは古くから歯磨きや治療薬に用いてきました。歯磨き粉や楊枝はインドからアジア各国に広まったともいわれています。お洗濯と同様、オーラルケアでも予想外にキッチリなインド人なんですね。
更に、虫歯になりにくい理由がもうひとつ。インドのカレーに使われる多種多様のスパイスには、漢方成分が含まれるものが多くあり、薬膳としての力を発揮しています。例えば「クローブ」というスパイスは抗炎症作用があるので虫歯の上に乗せると痛みが軽減するんだとか。激辛カレーと激甘スイーツなんて、インド人の味覚って変じゃないの?と思っていましたが、ある意味では理にかなった食習慣だったんですね。
でも、インドがキッチリな話ばかりで終わるはずがありません。実はインドのパンやご飯には、かなりの確率で「小石」が混入しています。つまり、歯が折れてしまうというアクシデントは日常茶飯事!残念ながら、歯医者要らずの国というわけではなさそうですね。