9月号の編集部だより
2017年08月18日 category:編集部だより みなさま、こんにちは。夏休みのご旅行いかがでしたか?
今年はテロ、自然災害、情勢不安のニュースばかり続いております。この8月、グアムへ行く予約をしていた方は殊の外、迷い心配だったことでしょう。世界から見ると、日本もいつミサイルが飛んでくるかわからない危ない地域と見なされているかもしれません・・・と思いきや。
わたくし、用あって沖縄に出かけましたが、多いです外国からの観光客。国際通りはもとより、世界遺産の首里城、琉球八社のひとつ波上宮も外国人ばかりでした。あそこもここもといった感じで。
斎場御嶽・久高島遥拝場より
今回の沖縄行きで私が最も楽しみにしていたのが久高島です。本島南部、南城市の知念港からフェリーで20分。一周8kmの神様を中心に人々が自然と共に暮らす特別な特別な小さな島です。
32年前、世界遺産になる以前の斎場御嶽へ行き、今では立ち入りが禁止されている岩の上まで登り、鏡の御神体を見せていただく大変貴重な体験をさせていただいたことが、興味のきっかけでした。遥かに見える久高島にいつか渡ってみたいと。久高島に行くことを決めてからは、もう恋い焦がれる人に会いに行くかのごとく、ワクワクドキドキ、そして神聖なる場所を穢してはならぬという背筋が伸びる思いで、本を読み、ネットで調べ、しつこく勉強してから伺いました。
レンタサイクルもあるのですが、自然崇拝が今も息づく神様の島。何気ない所が聖域であったり、みだりに触れてはいけない場所だったりしますので、ガイドさんに一緒に廻っていただきました。
注意書き(もうひとつ説明書きがあります) | フボー御嶽入口(右端に立ち入り禁止札) |
島の中で最も聖なる場所、フボー御嶽を案内していただきました。この島で連綿と続く信仰の対象を知らなければ、鬱蒼とした森の入り口、なんだ薮じゃないかとしか思わない人もいるでしょう。そこにある立ち入り禁止の立て札、フボー御嶽の説明看板を見なければ、わかりません。その立て札、一般的な観光地と違い、小さいのです。出しゃばらず、損なわず。神様や自然のお許しをいただける最低限の。謙虚さが表れている看板です。本来は必要のないものでしょう。外部の人に向けて、どうしても立てなければならなかったのだと思います。しかし日本語のみの注意書き、心配になりました。
ガイドさんに尋ねましたら、島でも今葛藤の最中とのことでした。これ以上看板を大きくできない、したくない、しかし観光客が知らずに?興味本位で?踏み込んでしまうかもしれない、いやもうすでに入られているかもしれない。訪れてくれるのはありがたいのだけど、どうしたらマナーを守り、節度ある行動をしてもらえるか。守り維持し続けることって、部外者が感じるよりずっと重く大変なことだと思います。
ニライカナイから五穀発祥の壺が流れ着いたとされるイシキ浜
心ないことをしてしまうのは、外国人だけとは限りませんが、今月号の「世界の街から」にも、トレビの泉観光被害の話題がありました。8月に入ってからは東大寺の国宝にハングルの落書きのニュース。憤りと共にどうすればいいのか各地の困惑、苦悩はこれからもしばらく続くでしょう。
自撮り棒&手持ち扇風機でSNS用写真撮影、楽しんでいるのでしょうけれど、日本に来たら、もう少し違う側面を学び、気づきを得てお国へ帰られる方も少しはいてほしいなどと、小さな期待を抱きつつ、奥ゆかしさや忖度は日本人同士だから通用する独特のもの。声に出して伝えず、きっと汲んでくれると、かの国々の方々に期待する所にズレが生じるのではないかと思う次第です。壊したくないカタチ、守りたいキモチ、本当に悩ましいものですね。
(編集部anan)
投稿9月号の編集部だよりは海外旅行保険 の最初に登場しました。