『キャンドルと光のお話』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年12月19日 category:北欧コラム
こんにちはティンドラ・ドロッペです。
何度かこの北欧コラムでも登場しましたが、今回改めてキャンドルのお話です。大切な人と過ごす時間が増える時期、北欧流を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?
北欧の人たちには欠かせないもののひとつにキャンドルがあります。このキャンドル、消費量を世界的に見てもフィンランドが一位、そしてデンマークが二位に続き、押し並べてスウェーデン、ノルウェーも上位国に入ります。
私が親しくしている家庭でも季節問わず、夜は白熱灯の間接照明にキャンドルの灯りで過ごしています。
昨今、日本でもカフェやレストランのテーブルにはキャンドルというところも増えてきました。アロマキャンドルなど、香りと共にリラックスするという使い方も増えてきているようです。こうしたシーン別の使い方だけでなく、北欧ではキャンドルが“暮らし”の中に深く浸透しています。
みんなキャンドルの灯りが大好きです。
北緯55度のデンマークでは完全な白夜にはなりませんが、夏は夜の11時くらいまで明るく、反対に冬は午後3時にはもう夕暮れのように暗くなります。暗くて長い夜が続くというわけです。日照時間が少ない冬は、うつ病を発症しやすいと言われています。この長い冬の夜を心地よく過ごすために、北欧の人たちはキャンドルを上手に使っています。
通りに面した家々の窓から、ほんのりとしたオレンジ色の灯りがもれていると、おとぎ話を1ページ1ページめくるようにシーンが想像できます。キャンドルの灯りの下、食事を楽しみ笑い語らう家族や、食後のお茶を味わいながら本を読みリラックスする人、足元に寝そべる犬、窓辺から外の様子を見守る猫。などなど、まさにホーム・スウィート・ホームがそこに描かれているように感じるのです。
実際に、キャンドルの灯りには精神的な安らぎをもたらす効果があることも明らかになっています。キャンドルの炎は、「1/f(エフ分の1)ゆらぎ」という、小川のせせらぎやそよ風、小鳥のさえずりと同じリズムで揺れています。不規則ながらも心地よく揺れ、またたく様に、人は幸せと安らぎを感じると言われています。
部屋の雰囲気づくりにおいてもキャンドルなしにくつろぎの演出はできません。私が知っているスウェーデン人とデンマーク人にどうしてキャンドルなのか尋ねたことがあります。彼らの答えはこうでした。「蛍光灯ではリラックスできない。あなた蛍光灯で打ち明け話できる?」「キャンドルの方が温かいしステキでしょ。」「煌々と明るい部屋でテレビが勝手にしゃべっている1時間とキャンドルの灯りの中で家族と語らう1時間はどっちが時間の質が高いと思う?。」これは個人的な意見ではなく、北欧に住む私たちに共通している考えや価値観だと付け加えて話してくれました。
気候風土、習慣が違うとはいえ、日本ではまだまだ蛍光灯の方が多く、加えてテレビですね(笑)。だんらんのありかたも違うのかもしれませんが、北欧の人たちは、キャンドルを灯りとして求めていただけでなく、長い冬を快適に過ごすやすらぎ効果を肌身で実感しているのだと思います。
キャンドルの灯りは、時間の流れを遅くし、あたたかさと和みをもって私たちをやさしさで包んでくれる魔法の道具のようです。
そうそう、こういう謂れをご存知ですか?「キャンドルの炎の数だけ天使が舞い降りる。」
大切な人と過ごすとき、テーブルにひとつキャンドルを添えてみてはいかがでしょうか?
*今年も一年、ご愛読ありがとうございました*
2017年たくさんの天使たちが皆さまのもとに舞い降りますように。
tindra droppe
投稿『キャンドルと光のお話』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。今回は前回に引き続き、スウェーデンのFIKAのお話です。伝統的で正式なFIKAのおもてなしは、日本の『馳走』の精神に似ているとお話しました。数年前になりますが、ご縁あってステキなご夫妻にお招きいただいた時の様子をご紹介します。
お招きくださったのは、ベンクトおじいちゃんと奥さまのエイヴォルおばあちゃん。元校長先生だったベンクトおじいちゃんの家は、ミッドセンチュリーを彷彿とさせるモチーフがいたるところにちりばめられ、家具や壁もダークな色合い。インテリアには「SVENSKT TENN」に見られるような花や鳥柄のスウェーデンならではのテキスタイルが、効果的に使われています。スウェーデンのトラディショナルなインテリアスタイルの見本のようなお部屋でした。
昨今雑誌やネットに登場するスタイリッシュなスウェーデンのお宅は、明るいお部屋が多いですが、ちょっと重ためのインテリアも、これはこれでザ・スウェーデンといった感じで、素敵です。
ご夫妻の名入りのナフキンでテーブルセッティングされたダイニング。おもてなしの始まりです。
アドベントももうすぐという時にお邪魔したので、シャンデリアにも、赤い♡のドイリーが飾ってありました。手作りのあしらいがかわいいですね。
まずはオープンサンドからスタート。なんと5種類も!そしてみごとな盛りつけ。どれから食べるか迷います。そんなに食べられな〜イとか言いながら、おいしすぎて全種類いただいてしまいました。このご夫妻を紹介してくれた知人が耳打ちをします。「まだまだ、これから本格的、伝統的FIKAのお菓子が出てきますよ!!」。
その耳打ちに、せっかく用意していただいたのに、食べ切れなかったらどうしようと不安がよぎりましたが、このおもてなしに応えたい、本物の味を知りたいという欲もあり・・・。
エイヴォルおばあちゃんお手製のお菓子が次々と出てきます。
これは、「トスカカーカ」というアーモンドのケーキ。しっとりした素朴なケーキです。
お皿は、ローストランドの「Mon Amieモナミ」。
エイヴォルおばあちゃんはご近所でも評判のお菓子づくりの名人。オーダーが来るそうです。このトスカカーカは、王室御用達にできるのではないか!?というほどおいしかったです。
そして、チョコレートケーキにシナモンロール。スウェーデンのおやつの定番です。
そしてそして、とっておきのお菓子はこれ!!
このお菓子、『Studentmössa ストゥデントモッサ』卒業の帽子という意味で、高校生が卒業する時にかぶる帽子のことです。卒業シーズンの街では、この帽子を被った高校生たちをよく見かけます。
このストゥデントモッサは、カリッとしたメレンゲ菓子で、マカロンの親戚のような感じです(餡ははさまず、マカロンより硬い)。作ってみたいと思い、レシピをお尋ねしたのですが、焼くのに時間と手間とコツがいるそうで、名人と呼ばれるエイヴォルおばあちゃんでも、時々うまくいかない時がある程難しいと聞き、断念しました。メレンゲは繊細な上に、生地の休ませ具合や、オーブンに入れてカリっかりになるまで10時間くらいかかるのだとか。それに、卒業の帽子そっくりですもんね。
私の残念ぶりが伝わったようで、少しおみやげにいただきました。
「正式なFIKAは7種類。昔はみんな手作りしたのよ。いつ誰が来てもさっと出せるように、常備していたの。今の若い人たちは、全部買ってきて済ませるけど・・・実は私も今回少しだけ買ってきて7種類ににしたのよ笑。」とエイヴォルおばあちゃん。
いえいえ、ほんとうに大満足の大感激ですよ!
おばあちゃんの手作りの味って、国は違えどどこか懐かしく温かく感じるのは一緒で、とびきりの愛情を感じるものです。これだけ用意するのにどれだけの手間隙がかかったでしょうね。何日も前から考えて、準備して、部屋を整えて温めて。お客様と一緒に過ごす時だけがおもてなしなのではなく、相手の喜ぶ顔を想像しながら、丁寧に準備を重ねる。おもてなしは数日前から始まっているのですよね。ベンクトおじいちゃんとエイヴォルおばあちゃんの真心が本当にありがたく、楽しく過ごさせていただきました。
最後に、ベンクトおじいちゃんに教えてもらったクリスマスのおまじない。
左の手のひらにクッキーを載せて、右手をグーにしてポン!とクッキーを割ります。割れた数だけ願い事が叶うのだとか。私はきれいに3つに割れました。みなさんもこのクリスマスにぜひやってみてくださいね。
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『おしゃべりとお茶とお菓子の時間』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年10月19日 category:北欧コラムこんにちは。ティンドラ・ドロッペです。季節は移り、一日毎に秋が深まるようです。旅行や運動にはいい季節ですね。北欧コラムは、今回から2号に渡って、スウェーデンのお茶の習慣FIKAについてお話します。ぜひコーヒー・紅茶を入れて、お読みくださいね。
先月の北欧コラム『デンマーク人が一番大切にしていること』では、デンマーク人にとっての“Hygge(ヒュッゲ)”をご紹介し、わかち合う文化・習慣のお話しました。このみんなでわかち合う精神はデンマークに限ったことではなく、北欧諸国全般的に習慣としてみられることです。
お隣の国スウェーデンには“FIKA(フィーカ)”と呼ばれるお茶の習慣があり、おしゃべりしながらコーヒーやお茶、そしてお菓子を楽しみます。
オフィスや学校にも”FIKA(フィーカ)”の時間があり、FIKAコーナーまで設けられている所もあります。私が訪問した小学校の低学年クラスでもFikaの時間がありました。クッキーをほおばり「さっきはごめん。」などと言いながら仲直りもしやすいようです。
街を歩けば、カフェの入り口には「FIKAどうぞ!」「FIKAしない?」というかわいらしい黒板が出ていて、おいしいコーヒーとお菓子が用意されていることをアピールしています。知り合いと会えば挨拶代わりに「FIKAどう?」といった具合に、みんなおしゃべりとコーヒーが大好きなんです。甘いものもね。FIKAでおしゃべりして、わかち合い、お互いへの理解を深めます。
北欧諸国は、福祉やデザイン先進国として有名ですが、実はコーヒー先進国でもあります。コーヒーの味のレベルも消費量も世界屈指。どこで飲んでもハズレなくおいしいし、スーパーのコーヒー豆でさえ、なかなかのクオリティなのです。スウェーデン人もデンマーク人もみんな口を揃えて言います。「1日に何杯も飲むから、コーヒーはおいしくなくっちゃ!」「冬は寒いし、部屋の中で過ごすことが多いから、コーヒーは欠かせない。」と。
ここでもやっぱり冬は長くて寒いという風土を背景とした文化・習慣ということがわかりますよね。
10年以上前になりますが、私も始めて訪れたスウェーデンでは、コーヒーが美味しかったことがとても印象に残っています。カフェの本場パリの帰りでしたので、スウェーデンの方がコーヒーが美味しいことに驚きました。それで調べたところ、世界のバリスタチャンピオンや有名な焙煎師は北欧の人が多いということ。コーヒーに限らず、お茶の世界でもトップブレンダーに北欧人が多く、驚き二倍。風土や習慣の背景を知るとともに納得したのです。
さて、FIKAに話は戻りますが、伝統的なFikaは7種類(場所によっては9種類)のお菓子を用意するのが正式です。心を込めて何日も前から、その人の為に用意するのがスウェーデンの“おもてなし”です。日本の『馳走』の精神とよく似ています。
その伝統的で正式なFIKAにお招きいただいたことがありますので、そのお話はまた次回に。
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『デンマーク人が一番大切にしていること』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年09月21日 category:北欧コラムこんにちは。ティンドラ・ドロッペです。暑かったことも忘れるくらい一気に涼しくなり、肌に触れる風も、ふとした時に感じるにおいもすっかり秋になりましたね。ヘッダーも秋バージョンに変えてみました。さて、早いもので連載してから一年が経ち、北欧コラムも12回目となりました。一周年となる今回は、デンマークの人たちが最も大切にしていることをお話いたします。
わかちあう時間 “ヒュッゲ”
デンマークには人々にとって欠かせない慣習があります。それが『Hygge(ヒュッゲ)』です。
“ヒュッゲ”には直訳する日本語がなく、強いて言えば“だんらん”に近いけれど、もっと沢山の意味がこの言葉ひとつの中に含まれています。例えば、「くつろぎながら楽しみむ」「和み」「穏やかでゆっくりした時間の流れ」「雰囲気を味わう」といったことで、英語で言うなら「Cozy」。居心地のよさを示す言葉ですが、この“ヒュッゲ”が素敵なのは、みんなで共有して成立するというところです。家族や親しい仲間と一緒に、おいしい食事とおしゃべりで楽しくくつろぎ、お開きが名残惜しくなるほど心地のよい時間を過ごした時、みんなは口々に「Det var hyggeligt ディヴァヒュッグリ(とても心地良かった)」と言って、おいとまします。
私たち日本人の暮らしの中でも会社の同僚、友人と食事をして盛り上がり、別れ際に「ありがとう!楽しかった。」「私もよ、また今度ね!」と言い交わすことがあります。楽しくて、相手も楽しんでいるのが伝わって、また嬉しくなってといった感覚と似ています。私たちは“飲み会”という言葉を使っているけれど、デンマークでは外食ではなく、誰かの家で会うのが基本です。そして日本人の“飲み会”よりもう少し情緒的にとらえ、間接照明とキャンドルによる空間の演出や雰囲気を大切にしています。リラックスしたりくつろぐ為の雰囲気は大事な要素で、“ヒュッゲ”の言葉にはこれらも含まれています。家で過ごす時間も長く、突然の来客もあるせいかどの家庭も片付き、インテリアはシンプルでセンス良くまとまっています。こんなところにも時間を過ごすことへの意識の高さを感じずにはいられません。優れたデザインが次々と生み出されるのは、こういった背景があるからなのではないでしょうか。
間接照明とキャンドルで演出を
“ヒュッゲ”のない人生なんて
デンマークの人たちは、“ヒュッゲ”は生きていく上でとても大事なのだと言います。私の友人も仕事が忙しくバタバタの数日が続くと「あぁ~、ヒュッゲしたい!ヒュッゲが足りてない!」と嘆き、「ヒュッゲがない人生なんて、生きている意味がない。」と付加えるほどです。生きていく上で“ヒュッゲ”は絶対不可欠ということで、日本人の単なる飲み会の感覚とは違うことがわかります。もちろんひとりでのんびりしたり、運動したりというストレス解消もありますが、“ヒュッゲ”には、ストレス解消+アルファの効果がまちがいなく存在しています。
夜が長く、日照時間の短い北欧の冬は、昼間でも空はどんよりと暗く、寒さで家に篭り過ごす時間が長くなります。気分が落ち込み、塞ぎがちになる人も少なくありません。だからこそ、人と人とが寄り添って生きていかなければならないということを北欧の人たちは本質的に知っているのだと思います。
“ヒュッゲ”とは、人が集まるパーティだけを意味するのではありません。とびきりのご馳走でなくても、家族だけでも友人とふたりきりでも“ヒュッゲ”は成立します。空腹を満たすだけでなく、心も満たす時間とでも言いましょうか。出来事を話したり、悩みを打ち明けたり、自分以外の誰かの話を自分のことのように考えたり、そして何より大事なのは、誰かと一緒に共有することです。食事も時間も気分も。
ひとりで飲みには行けるけれど、ひとりでの“ヒュッゲ”は成立しません。わかちあう安心感を得られることがとても大きいのだと思います。
食事の後もリラックスしておしゃべりは続きます
成熟した社会構造の礎
風土や社会環境で、世界各国食事の文化・習慣は違うし、それぞれに“だんらん”のようなものはあるはずです。けれども、“ヒュッゲ”という言葉があるほどデンマークの人たちは、人と人との結びつきや、時間の質への意識が高いと言えると思います。
私はデンマークで何度も“ヒュッゲ”を共にし、そこで「決してひとりぼっちではない」と感じましたし、そこにいる誰もが「ひとりで生きているのではない、支えあうものだ」と謙虚さを持ち、それを前に進む力と捉えているように思いました。それぞれに自立した暮らしの中で、時々確かめ合うようなひと時を過ごし、心身のバランスを整え、また明日から頑張る。成熟した社会の構造の礎に“ヒュッゲ”があるのだと思います。
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『デンマークのごはん今むかし』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年08月18日 category:北欧コラム
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。よく「デンマーク料理ってどんなのですか?」という質問をされます。デンマーク料理って想像がつかないですよね。そこで今回は、伝統的なデンマーク料理に加え、一般的な家庭料理、そして最近ブームになっている食べ物をご紹介します。
『デンマークの伝統料理』
フレンチ、イタリアン、中華のみならず日本では本格的な世界各国のお料理が楽しめます。
馴染みのある国のお料理は、だいたいどんなお料理か知っているし、想像がつきますよね。ではデンマーク料理とは?というと今ひとつ知られていないと思います。スカンジナビア各国の中でも、デンマークはヨーロッパと陸続きですから、その影響も受けたものが多いのですが、デンマーク人に「伝統的な料理は?」と尋ねると、間違いなく返ってくる返事は「SMØRRE BRØD(スメアブロ)」です。スメアブロとは、簡単に言うとオープンサンドのことですが、正式なスメアブロはフォークとナイフで食べます。そして食べる順番はお魚系→お肉系、または冷たいもの→温かいものへと食べ進めます。パンは薄くスライスしてあり、バターを隅々まできっちり塗って、パンが隠れるように具を乗せることが肝心なセオリーです。
パンも白パン、黒パンとあり、あっさりした具には白パン、お肉系の具には重めの黒パンがよく合います。ヘルシー志向の高まりからか、私の周りのデンマーク人は繊維が抱負なライ麦パン(黒パン)を好む人が多いです。
では、写真で見ていきましょう~。季節でも具は変わってきますが、今年6月に撮ったスメアブロをご紹介します。
定義にうるさい友人が作ったニシンのスメアブロ。
①パンは隠れて ②ニシンの時は、バターではなくラードをパンに塗って ③8分のゆで卵 ④ケッパー、タマネギ、ディルのトッピング。 |
オードラップゴー美術館のカフェで 食べたニシンのスメアブロ。 アーリーレッドとラディッシュの盛り付けが美しいです。上記のニシンと比較すると、現代的な盛り付け。 ※黒パンにバターでした。 |
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オーデンセの老舗レストランで 食べた小エビのスメアブロ。 これも定番中の定番。 北欧の小エビは臭みがなく、エビそのものの味わいが楽しめます。 レモンでさわやかに、夏にぴったりのスメアブロです。 ※トーストした白パンでした。 |
定義にうるさい友人が作ったスメアブロ再び。 温かい魚料理“フィスカフィレ(白身魚フライ)” ①パンは隠れて~②魚はひらめ ③中挽きライ麦粉でフライにして ④自家製レモラードとディルをたっぷり ※黒パンチョイス ※レモラードは、カレー風味のマヨネーズタイプの万能ソースで、刻んだピクルスが入っています。 |
オードラップゴー美術館で友人(定義に大らかな)が頼んだタルタルステーキのスメアブロ。 トッピングは、フライドオニオンと・・・。この緑色の植物が不明。 ポクポクした海草のような食感でした。おかひじきかスギナの仲間?とも思いましたが、違いますね。 食べ物、植物に詳しい友人もわからず。聞けばよかったなぁ。 ※黒パンでした |
定義にうるさい友人がオーデンセの老舗レストランで注文したステーク・アッシュのスメアブロ。
これとは別にデンマークには、“フリカデッラ”というハンバーグとミートボールの中間のモノがあり、フリカデッラの方が一般的です。 |
『夏の定番、家庭料理』
6月上旬、久しぶりにデンマークの友人宅を訪れました。「特別なご馳走じゃないけど、夏の定番家庭料理よ。」と言って用意してくれていたのは、お魚のフリカデッラ(お魚ハンバーグ)でした。付け合せには茹でた新じゃがと旬真っ盛りのホワイトアスパラガスです。この時期には、ホワイトアスパラガスの産地がヨーロッパを北上することも必ず話題になります。(スペイン→フランス→ベルギー→ドイツ→デンマーク)もちろん彼らにとっては自国産が一番おいしいという話題になるのですが、旬を味わうのは日本人だけではありません。旬の食べ物は栄養価が高く、その季節に合った働きがあるので、自然と食べたくなるし、なにしろその効果は食べた時の美味しさで証明されるわけです。友人は、ホワイトアスパラガスが私の大好物だということもよく知っています。特別なご馳走じゃないと笑っていますが、お客様としてもてなされるより、大好物と気軽な料理で迎えられる方が、家族の一員のようで私にとっては大変嬉しいことです。
翌日、私の夫が合流しました。彼の初めてのデンマーク訪問をみんなで歓迎。夫はお客様扱いですね。ふだんの食卓、おもてなしの食卓を写真で紹介します。
普通の家庭の普通の晩ごはん。気どった料理でもてなされるより、近況を報告しあい、家族のような関係を再確認できたことが嬉しかった。 | |
裏庭に咲いたローズをテーブルに。 花器は、スベン・ハンマースホイ(画家ヴィルヘルム・ハンマースホイの弟)の作品。 |
次の日のディナー。おもてなしテーブルセッティング。 北欧好きの方はおわかりですね。 ライトはポール・へニングセン テーブル/椅子/カトラリーはアルネ・ヤコブセン お皿はご存知、ロイヤルコペンハーゲン。 グラスは、イッタラ/アイノ・アールト。 |
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おもてなしセッティング、その訳は。 |
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レッグオブラムのつけ合わせは、やっぱり 新じゃが。そして夏らしいギリシャ風のサラダでした。 デザートにはアップルクランッブルのケーキ、季節の果物のスムージーをいただきました。 |
『ヘルシー志向、話題の古代食』
私がデンマークに初めて行ったのは13年前のことです。その当時驚いたのは、パンにバターをびっしりたっぷり塗ることと、ほとんどのお料理がしょっぱい!なのに回りを見ると現地の人たちは、テーブルソルトをさらにパラパラとかけているではありませんか。寒冷地の人たちは、塩分で体を温めるといいますが、これには本当に驚きました。その頃から徐々に、塩や動物性脂肪を減らしましょうという呼びかけはあったようですが、このヘルシー志向はブームになり、今最も話題となっているのが、『PALÆO(パレオ)』です。友人(前出の食の定義にうるさい方)が説明するには、「これはストーンヘンジ(旧石器時代)の食べ物を見直し、健康になるというテーマです。これでプロテインダイエットもできます。」とのこと。またテイクアウト食品やファーストフードは不健康であるといったことを払拭したと付け加えていました。
旧石器時代の食べ物と言ってもピンときませんよね。基本は、農耕が発達する前の自然界の食べ物で、肉、魚、野菜、卵、ナッツなどです。逆にNGなのは、穀類、豆類、乳製品、加工油など人の手が加わったものです。
「人間の遺伝子は旧石器時代から変わらない、祖先と同じものを食べれば現代病にはなりません。」という発想から広まったようです。
『PALÆO(パレオ)』は、デンマークのセブンイレブンで展開中です。レストランや気軽なスタンドもあるようです。今回は食べる機会はありませんでしたが、サラダボウル、ハーブ入りのミネラルウォーターや“ショット”と呼ばれる一気飲みのジュースなど、コンビニで健康が手に入るというのは確かに画期的なことだと思いました。身近にあると健康への意識も自然と高まりますよね。長距離列車の中では、駅弁ならぬパレオ弁を食べている人、けっこう見かけました。
(詳しく調べたい方は「パレオダイエット」で検索してみてください。」
セブンイレブンのフードコーナー。 肉、野菜、果物が中心のメニュー構成。 |
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牛肉とくるみマスタードのフレッシュサラダ | |
ショットと呼ばれる一気飲み健康ジュース。 ジンジャー+りんご+シトラス 風邪気味の時効きそう。 |
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ミントとライム入りのミネラルウォーター |
『PALÆO(パレオ)』のみならず、全体的にヘルシーブームのようで、ルイジアナ近代美術館のビュッフェランチも体によさそうな物が勢ぞろい。何もかもがしょっぱかった10年前に比べたら、全部美味しい!全部食べやすい! ただ、外食は本当に高いです。気軽なランチでもドリンクをつけたら、ひとり3000円はかかります。外食に頼るしかない旅行者には、ほんとうに痛いおいしいデンマークです。
メインのチキンはスチームしたむね肉、魚料理は和食がヒントか?しんじょのようでした。野菜もボイル、マリネなど、豆類と野菜もさっぱりしたカッテージチーズで和えてあるものを多くみかけます。 |
*PALÆO http://www.palaeo.dk/
*パレオダイエット(wikipediaページ)
*ルイジアナ近代美術館 Louisiana; Museum of modern art
*オードラップゴー美術館
投稿『デンマークのごはん今むかし』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。
『輝く季節!北欧の夏。その2・太陽と共に』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年07月14日 category:北欧コラム
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。前回のお花編に引き続き、夏真っ盛りのデンマークをお伝えします。みんな太陽が大好き!1年分の陽の光をカラダ中に浴びて、長い冬に備えてチャージします。
『太陽が大好き!』
デンマークに限らず北欧諸国では、みんな太陽が大好きです。
長雨の続く梅雨時であれば、私たち日本人も太陽が恋しくなりますが、太陽に恋焦がれる感覚も意識としても非常に薄いものだと思います。ましてや昨今、夏ともなれば紫外線対策で全身黒づくめの太陽大嫌い族も発生する日本です。そこまで過激でなくとも、美肌意識の高い日本においては、女性なら帽子・日傘くらいは誰もが持っているアイテムでしょう。
所変わって北欧では、太陽がさんさんと降り注ぐ中、日傘(パラソル)を差して歩いている人は皆無です。郷に入れば郷に従え、私もデンマークにいる時にはスカンジナビアンウエイで、帽子被らず日傘なしで通します。ジャパニーズウエイだとものすごく目立ってしまうし、彼らにとっては日傘だけでも異様なのです。私の友人も一緒に歩きたくないでしょう。
ところが、今年の夏は暑い!本当に暑かった!!太陽が大きくて日差しが強いです。
暑くて焦げそうでした。心の中では「日傘~~~っ」と叫んでいました(笑)
1.太陽が大きい! | ||
朝8時半頃。 コペンハーゲン市庁舎 |
朝10時頃。 コペンハーゲン中央駅の裏 |
強い日差し オーデンセにて |
そんな暑さの中、屋外では日光浴する人だらけです。公園、広場、街路のベンチ、至る所で陽に当たり、思い思いに過ごしています。お年寄りは水分を摂っているだろうか?熱中症で倒れる人が続出するのではないかと、心配になるほどです。友人は、「デンマークでも近年皮膚がんの人が増えている。こんなに暑くて太陽も強い時にも長時間外にいるのは無謀だ。なんでもやりすぎはよくないね。」と話していました。ほどよい日光浴はビタミンDを生成し、健康にもよいとは言われますが、度がすぎればなんでも危険ですよね。
2.日焼けしたい! |
||
運河に飛び込む少女たち | ビキニ女性多数 | 暑いけど読書にふける |
3.語らいは大切
教会の広場 | たくさん木陰はあるのに |
海水浴 デンマーク |
湖水浴 スウェーデン |
時間さえあれば日光浴をしたい理由に、冬の日照時間が極端に短いということがあります。
夜が明けたのかはっきりわからないまま、どんよりと重たい雲に覆われた空、そして午後3時になるともう暗くなってしまう。晴れる日も少ないので、ほとんど太陽を拝める日はありません。
(デンマーク:冬の南中高度は10°程、東京:30°)闇に包まれて暮らすと言っても過言ではないでしょう。こんな日がつづくので、うつ病になる人も少なくないと言います。もともと北欧には土着の太陽崇拝もあり、闇を照らす“光”の存在は、まさに“生”のシンボルでもありました。気候や環境が創り出した歴史的習慣と背景があると言えるわけです。長い冬に備えて、日光浴で太陽ビタミンを蓄え、乗り切るというのも理にかなったこととも思えます。
4.夕食は屋外で
よく見かける光景 | テラス・庭にはどの家庭も テーブルと椅子がある |
明るい夕食 |
反対に夏場の日没は22時ごろ。ほとんどの人が夕食をテラスや庭で楽しみます。太陽が沈んだ後も透明感のある群青色の明るい夜空が広がり、ついつい時間を忘れておしゃべりに興じてしまいます。夏の明るい夜空に星を見ることはありませんが、秋になり星がひとつふたつ見えると冬が近づいている実感を伴い、憂鬱になる人もいるようです。夏の夜空を見上げて星を楽しむ私たち日本人とは、星を見る感覚さえも違うとは不思議ですね。
5.空が青い!
どこまでも抜け渡った青空とまぶしい水辺、豊かな植物、その中で寛ぎ楽しむ人々で賑わうという風景が、私にとっても北欧の夏の風物詩のように感じます。そして北欧の人たちに、一瞬の輝きを見逃さず愛することができる心の豊かさを感じるのです。
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『輝く季節!北欧の夏。その1・お花編』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年06月16日 category:北欧コラムこんにちは。ティンドラ・ドロッペです。ただいま北欧は夏真っ盛!美しい季節の到来を喜んでいるのは人だけではありません。北欧コラムでは2回に渡って、北欧の夏の様子をお届けします。その1はお花編。北欧に暮らす人々の自然との向き合い方をお話します。街歩き花図鑑もお楽しみください!
北欧の夏は、自然のすべてが最高の美しさを見せ、生命の輝きと力強さが一斉にあふれ出す季節です。寒くて暗いふさぎがちな冬から開放され、誰もが待ちわびた輝く季節となりました。夏の到来を喜んでいるのは人だけではありません。鳥たちは到る所でさえずり、花々は楽園のように咲き誇ります。花も鳥もまぶしい太陽も、人々の幸せ気分を盛り上げ、北欧の夏の輝きを一層豊かなものにしてくれるのです。
★★★
6月のコペンハーゲンは、朝4時くらいから外が明るくなってきます。美しい小鳥の鳴き声とやさしい眩しさで自然に目が覚めるのは、清々しくとても気分のよいものです。輝く朝を迎えると、「今日もいい一日にしよう!」と自らの活力も目覚めます。「こんなにお天気が素晴らしいのに家にいるなんてもったいない!」たしかにそう思うほど、美しい朝なのです。
身支度を整え、アパートを出て1歩を踏み出すと、目に鮮やかな色彩が飛び込みます。毎日がどんよりと暗い冬とは対照的に、突き抜けるほど澄みきった青い空が広がります。私は北欧の冬も嫌いではありませんが、夏があまりにもカラフルなので、冬の景色がモノクロで思い出されるほどです。住んでいる人にとってはなおさらのこと。冬は家で過ごすことが多く、気分もふさぎがちな毎日ですから、夏がどれほど愛おしいか計り知れません。
さて今日も、次々に描かれる飛行機雲を見上げながら、散歩に出かけます。
コペンハーゲンの市内を歩いているだけでも、多種多様な種類の花を見かけ、街全体が植物園のようです。
◆デンマーク街歩き花図鑑
※花の名前はドロッペの知識と現地の人に教えてもらったものです。間違いがありましたらご了承ください。
ニセアカシア |
エルダーフラワー |
|
リンデン |
ブバリア |
アストランティア |
ローズ |
ヤマアジサイ |
ジギタリス |
ハニーサックル(すいかずら) |
オダマキ |
ショウキウツギ |
ヤマボウシ | レースフラワー | ライラック(5月末頃まで) |
教会、公園、ちょっとした広場など
緑のグラウンドカバーにも白い小さな花で
いっぱいになります。
6月は街路樹、庭木で多く見られるニセアカシアとエルダーフラワーが清楚な白い花をたわわにつけているのを頻繁にみかけます。
私の友人は、毎年6月の半ば、家族でエルダーフラワー(西洋ニワトコ)を摘み、シロップ作りをすると言っていました。日本の梅仕事のようですね。ここ数年、日本でもコーディアルなどを見かけるようになりましたが、ヨーロッパでは昔から万能薬としても馴染みがあり、魔よけとして庭に植える人も多く、少し郊外へ足を延ばせば自生しているものもよく見かけます。
エルダーフラワー
免疫力を高め、風邪や花粉症に効果があるスーパーハーブです。
コンビニ、スーパーで商品化されたものもよく見かけます。
エルダーフラワー味のビール | エルダーフラワーのジュース |
★★★
北欧には「自然享受権」という法の文化があります。その土地が誰の所有であっても、損害を与えなければ誰でも入って、花を摘んでもきのこやベリーを採ったりできます。たとえそこが王室の所有であってもです。
これは旅行者も含めて、誰もが自然を分かち合える権利で、遡ることバイキング時代からの慣習です。デンマークでは「自然保護法」で明文化されています。権利が与えられれば義務もあり、小さな子どもの内から自然とのつき合い方を学びます。それはバスや電車の乗り方を覚えるようなことと同じように自然維持の義務を身に着けるのです。
美しく咲いた花の周りに柵や注意事項などを見かけることは皆無です。そう思うと日本は「入ってはいけません」など注意書きのなんと多いこと。注意書きがなければ秩序は保たれないのでしょうか?
こういった古くからの慣習・道徳が引き継がれていることこそ、現在の北欧が持続可能な社会に向けての先進国である所以ということは言うまでもありません。
長く厳しい冬をのり越えた後、短い夏の楽園を謳歌すること、自然の中にいて自然の恵をいただくこと、この根底にあるのは「みんなで分かち合う」という考え方です。
美しい自然を来年も見ることが出来るように。未来の子ども達も見ることが出来るように。自然の前で人々は謙虚にふるまう。北欧に暮らす人たちは、人も自然の一部であることをよく知っています。
次回の北欧コラム・ドロッペさんのハーデソーブラーは『輝く季節!北欧の夏。その2・太陽と共に』をお送りします。
投稿『輝く季節!北欧の夏。その1・お花編』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。
『夏至の前夜には魔力がひそむ』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年05月12日 category:北欧コラムこんにちは。ティンドラ・ドロッペです。入梅間近となりましたね。日本では、じめじめと過ごしにくい季節となりますが、北欧の6月は、1年の中で最も輝く季節となり、夏至のお祭りが各地で盛大に行われます。今回は、スウェーデンとデンマークでの夏至祭を見てみましょう。夏至の前夜の魔力って!?
『夏至の前夜は魔力が潜む。』
これは北欧諸国で、今も残る言い伝えです。例えばスウェーデンでは、夏至の前夜から翌朝にかけて夜露を集め、これを万病の薬としたり、動物達がしゃべる夜とも言われています。そしてなんともかわいらしい言い伝えも。7種類(地方によっては9種類とも11種類とも)のお花を摘んで、枕の下に入れて眠ると未来のダンナ様と夢で会えるといいます。このおまじないは密やかなるもので、お花摘みを誰にも知られてはいけないそう。スウェーデンの友人に「お花摘みのおまじないをしたことある?」と尋ねると、「もちろん!スウェーデン人の女なら、うら若き頃に一度や二度、みんなやってるわ!」という回答でした。そして夢に見た人が今のパートナー?かと聞くと、大笑いになり女子トークが弾みます。
私も摘んでみました。6月のデンマークにて |
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誰もが心を弾ませる夏至祭は、スウェーデンやフィンランドでは、毎年6月19日から26日の間の、夏至に最も近い土曜日Midsommardagen(ミッドソンマルダーゲン)とその前日Midsommarafton(ミッドソンマルアフトン)と合わせて2日間が祝日(移動祝日)になります。
スウェーデンの夏至祭は北欧諸国の中でも特に盛大で、草花で飾った白樺の木「メイポール(マイストング)」を町の広場に立てるところから始まり、五穀豊穣を願ったこのメイポールを囲み、歌い踊りながら回ります。この時期、スウェーデン中部ダーラナ地方へ行くと、老若男女が民族衣装に身を包み、花冠を頭に載せた人々で賑わう伝統的な夏至祭を見ることができます。
首都ストックホルムでも、スカンセン野外博物館へ行けば、伝統的な夏至祭に参加することができますから、6月にスウェーデンへとお考えの方は、スカンセン野外博物館は見逃せません。ぜひぜひ行ってみてくださいね。
そして、家族・親戚・友人と親しい人たちが集まり、夏至を祝った食事も楽しみのひとつ。
ディルで茹でた新じゃがや、ニシンの酢漬け、サーモンやミートボールと共に、大人はアクアヴィット(じゃがいもの蒸留酒、アルコール度数40度以上)を一気にあおり、盛り上がります。
日は長く、夜でも明るい。 太陽の光を存分に浴びながら、 みんなで食事におしゃべりに興じます。 |
さて、お国変わってお向かいの国デンマークでは、同じ文化圏でもその習慣は違っていて、6月24日を「サンクト・ハンスの日」とし、クリスマスから半年後に生まれた聖人を讃え、豊穣を祈る日としています。
人々は公園や水辺に集まり、焚き火の儀式を見守ります。夏至前夜に最も活発になるという“魔”を焼いて追い払うのです。場所によっては、焚き火のてっぺんに魔女の人形を立て、“魔”の象徴として焼き払うところもあります。これは、魔女狩りの名残とも言われています。
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寒くて暗い長い冬、屋外に出て活動する機会が少ないため、身も心も閉鎖的になり、病を煩う人も少なくないといいます。太陽がなかなか顔を出さない冬こそが、人々にとっての“魔”ではないでしょうか。夏至を境にまた日が短くなっていく・・・“魔”に襲われる前に焼き払う、願いを込めて人々は大きな焚き火の炎を見守ります。デンマークの友人は、親しい人とおしゃべりをしながら炎を見つめていると、安らぎと、共に生きる強い絆を感じると言っていました。
北欧の人々が、夏を待ちわびる心境は、私たち日本人の想像を遥かに越えていることでしょう。一分一秒でも長く陽の光を浴びていたい。北欧の夏至祭の盛大さは、キリスト教が布教する以前の太陽崇拝を起源とし、太陽への憧れを物語っています。
この日を過ぎると、足早に夏が去っていってしまうことを心のどこかで知りつつ、太陽への愛おしさ込めて過ごす夏至の日。ちょっとせつなくもあり、一年の中で最も輝く濃厚な一日となります。
今年の夏至の日は、大事な人と日の長さを楽しむ過ごし方をしてはいかがですか?
投稿『夏至の前夜には魔力がひそむ』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。桜も終わり、一気に新緑の季節に向って気持ちも前向きになる季節を迎えようとしています。特に北欧諸国の人たちにとっては、日が長くなる夏至までは、待ちに待った季節となります。
さて、今月の北欧コラムは、先月に続き「ノルウェー/フィヨルド・ベルゲンの旅」その2をお送りします。写真メインでお伝えしますので、一緒に旅する気分でご覧ください。
トロールのいたずらか、1日がなかなか終わらないフィヨルド観光を満喫した翌日は、ベルゲン市内観光へ繰り出しました・・・が、この日は“ウィットマンデー(聖霊降臨節の月曜日)”。祝日ということで、一般のお店・レストランなどはお休み。(※みなさん、旅行計画の際には、祝祭日を調べてくださいね。) お店が閉まっていても呆然とする必要はない!行くだけ行ってみよう~と気持ちを切り替えいざ、フィッシュマーケットへ。
普段はもっと賑わいを見せているのでしょうが、この日は、テント3つだけ出店していました。ないはずのものがあると、少なくても嬉しいものです。どれどれ?どんな魚が売っているか、旅行当時のメモでご紹介してみましょう。
陳列に赤いものが多い!? | ビビットカラーの魚エプロン | キャビア!? |
試食もさせていただいたので、何かおみやげを・・・カニ缶を購入、3つのテント全部値段が違っていました。「Kaviar」のブルーのチューブは、たらこペーストです。魚卵の代名詞のようにみんなキャビアって言うんですね。そして、ノルウェーには鯨を食べる文化があるんです。ご存知でしたか?ここフィッシュマーケットでは、鯨をスモークした加工品が販売されていました。乾燥させた棒鱈もあり、調理法は違うでしょうが、日本と食文化が似ているという印象を受けました。
フィッシュマーケットを後にし、次の目的地、世界遺産「ブリッゲン」へと移動します。ブリッゲンは、13~16世紀ハンザ同盟のドイツ人街です。三角屋根のカラフルな木造建築が、港に面してずらり立ち並んでいます。建物と建物の間の狭い路地、その奥にも建物があり、渡り廊下、傾いた廊下など迷路のように楽しい散策ができます。港側の路面は観光客用おみやげショップやレストランですが、路地へ入るとアーティストの工房、ハンドクラフトのブティックなど、おもしろいショップを発見できます。1979年に世界遺産に登録され、カラフルな港町は、ベルゲン代表する景色です。
風情ある港町の景色 | 建物と建物をつないだ不思議な造り |
次は、ベルゲンを見渡せる「フロイエン山」に登ります。山登りといっても、ご安心ください!ケーブルカーで登れますので、タウンウエアでも大丈夫です。
かわいらしい駅 | 山頂まで7分で到着 | 山頂からの眺め |
フロイエン山からの景色は、日本のどこか懐かしい風景と似ています。私にとっては幼少期を過ごした佐世保(長崎県)を思い出す景色でした。ここに立つと、みんないつか誰かと見た景色を思い出すのではないでしょうか。そして、ベルゲンっ子たちの心の故郷でもあります。
ゆっくりとのんびりした時間が流れています。
素敵なシニアカップル | おばあちゃん、お母さん、 娘さん、三世代で。 |
なんの相談でしょうか? |
過ごし方様々 | ママはお仕事かな? | こちらもアイス |
せっかくですので、この見晴らしのよい景色を眺めながら歩いて下山することにしました。途中は湧き水が流れたり、春を告げる可憐な花たちをながめたり、鳥の声を聴きながら森林浴が気持ちよく“ノルウェーの森”を感じます。忙しい都会暮らしでは味わう機会がなかなかない時間。少しでも普段の運動不足を改善しようと選んだハイキングコースは“最短コース所要時間30分”。
ここにもいましたトロール! | 最短コースを選んだものの・・・ | 壁の色もすてき。 |
猫が似合いそうな家並み | ノルウェージャンフォレスト キャットいないかなぁ。 |
Mcドナルド。景観そこねず。 |
“最短コース=勾配が急である”ということが頭になく、急な坂道を下り続け、民家の建物が現れるころにはふくらはぎはパンパン!膝はガクガク!今すぐ湿布を貼りたいほど、足腰が~。帰りのハイキング、気持ちよさも眺めも素晴らしいのですが、無理せず“ゆっくりなだらかコース”でハイキングすることを心からオススメします。
だんだんと口数も減ってきた所に、店の外までお客さんがあふれるカフェが!!みなさん、脚がパンパンなのではなく、エスプレッソ目当てに来ているようです。
ノルウェーだけでなく、北欧諸国はコーヒー、紅茶がとてもおいしいです。冬が長く家で過ごす時間が長いという背景があるのですが、北欧からは、何人ものバリスタチャンピオン、ティーブレンダーを輩出しています。
こちらのカフェもトイレの壁に受賞パネルがいくつも飾ってありました。
フロイエン山ふもとのカフェ。この写真左右にもずらりとお客様。 | マシンを手早く操るおねえさん。 |
コーヒーへのこだわりが伝わるトイレ | アイスエスプレッソ(勝手に命名) |
祝日のベルゲンは、とても静かでした。ショップなどはやはり開いていませんが、教会前の公園、劇場の庭園など緑豊かなスペースでは、人々がくつろぎ春を謳歌しています。平和でのどかな街歩きを続けると、いかに日々気忙しく過ごし、気持ちの余裕をなくしているかに気付かされます。
夕刻、ベルゲン郊外オース村まで移動し、今夜の宿泊施設『Solstrand Hotel & Spa(ソールストラン ホテル&スパ)に到着しました。フィヨルドを目の前に臨む、老舗のリゾートホテルです。
バルコニーから | 部屋のしつらえ | ジュニアスィート |
今回はこの部屋でディナーを | 海の幸、山の幸、滋味豊かな 西ノルウェー料理 |
仔牛のロースト、かぼちゃの ピュレ |
館内の到る所に歓談スペース | 廊下に展示されたこの地域の 民族衣装。 |
どこからもフィヨルドが見える |
岸辺のボートハウス |
フィヨルドを見つめる少女の |
ディナーが終わった後、ホテルの庭園を散策。 |
景色の素晴らしさは言うまでもありませんが、目に見えないところまで気配りを感じるホテルです。隅々まで神経の行き届いた清潔感、スタッフの態度ひとつひとつ、決して現状に満足しきっていないホスピタリティの精神など、どの角度から見ても、ここで働く人たちの全てが、この場所を愛し誇りを持ってお客様を迎えていること。これは他で感じたことがないほど印象的で、短い滞在が惜しくなるほどでした。景観や歴史だけに頼ることなく、むしろ、日々前進の努力でここを守っていっていることが清々しいと感じるのでした。
湖のように広がるフィヨルドの向こうには、根雪の残る山並み。空が薄っすらとピンクに染まり、ゆっくりと静かに夜を迎えようとしています。
2回に渡ってベルゲン・フィヨルド3日間の様子をお伝えいたしましたが、一緒に旅をしていただけましたか? 心洗われるような旅を求める時、ノルウェーおすすめです!
投稿『ノルウェー/ フィヨルド・ベルゲンの旅2』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。春が待ち遠しく、北欧コラムのヘッダーも春バージョンに変えてみました。
さて、今月は【ノルウェー特集】ということで、このコーナーも「ノルウェー/フィヨルド1日ツアー」をお伝えします。ドロッペさんが見たフィヨルド、どんなところ?そして伝説の妖精トロールはいたのでしょうか!?
春から夏へと向かう5月の終わり、ノルウェー第二の都市ベルゲンからフィヨルドツアーに行く機会に恵まれました。
中学生の頃、地理の授業で出てきた“フィヨルド”。教科書の文章で読んでも想像がつかず、お恥ずかしながら地図上で見るリアス式海岸の大きいバージョンか?くらいの認識でした。地理的にも精神的にも遠い遠い異国のことだと感じていて、大人になってこの目で確かめることになるとは!露ほども考えなかったことです。
もう一度、復習してみましょう。“フィヨルド”とは、数万年にも及ぶ長い長い時間をかけて、厚さ1000mを超える氷河が自分自身の重みで河床を削り、ナイフで切り裂いたような鋭いU字の谷を造ったものです。氷河期が終わると、海水が入り込み入り江/湾となったものを言います。
私が行ったのは、ノルウェー最長のソグネフィヨルド。その長さは200km、ノルウェーの内陸部にまでおよびます。雄大な河のように見えますが、湾の長さが200kmですから、途方もない自然の力を感じます。(※200kmの距離は福岡中心にすると釜山、広島くらいまでの距離です。)
7時半すぎ、オスロ行きのベルゲン鉄道に 乗り込みます。(左の列車) |
さっそく車窓はフィヨルドです。 |
出発はベルゲンからオスロ行き、ベルゲン鉄道での移動です。約2時間、内陸部に移動する毎に車窓は冬へと逆戻りするかのように変化し、これから姿を現すフィヨルドへの期待が高まる移動でした。5月末とはいえ、まだ冬の名残を感じるミュールダールで下車し、ここで観光路線“フロム鉄道”に乗り換えます。フロム鉄道もまた、世界一急な勾配として有名で、鉄道ファンならずとも、テレビで見た、雑誌で見たという方も多いかもしれませんね。
ベルゲン鉄道内の売店 | カフェつきの車両もあります。 |
車窓は雪山の景色に。 | 標高も高くなってきました。 まだスキーが出来そうです。 |
ミュールダールに到着。 |
全長20km。世界一急勾配の鉄道「フロム鉄道」 |
ショースフォッセンの滝で停車。 ホームで“森の妖精・フルドラの舞”を観る。 この滝の水力発電でフロム鉄道は走っている。 |
フロムに到着。 |
フロムへ到着し、フィヨルドクルーズの前にランチを頂きます。“フレットハイムホテル”でいただいたこのランチは、忘れえぬ味となって今でも鮮やかに蘇るほどの美味しさでした。この日は地元野菜とキャットフィッシュ(なまず)のホワイトソース。これこそが大地の恵と感じる地強さと、必要以上に飾らず足さず滋味豊かな味わいが、ノルウェーの誇りのように感じたのです。
ふわふわのキャットフィッシュ アスパラガスの太さに驚く。 |
ホワイトチョコとサワークリームを滑らかに 合わせたデザート。 勝手に“フィヨルドクリーム”と命名。 |
さてさて、フロムからはいよいよフェリーに乗船しフィヨルドクルーズへ。
5月の終わりでも風が冷たく、心地よいというよりかなり寒かったです。そして乗船してからは、無数のカモメが手にとまりそうな勢いで、どこまでもついてきます。しばらく主役はカモメに持っていかれ、大人も子どももフィヨルドどころではないのですが、目的を忘れてはいけません。教科書でしか知らなかったフィヨルドにいるのですから。
クルーズ船は、ソグネフィヨルドの支流、“アウルランフィヨルド”から“ネーロイフィヨルド”に入りました。湾の幅は250m。世界で最も狭いフィヨルド、世界遺産です。水面からいきなり1000m級の山々がそびえ、壁のように迫ります。この山肌こそ氷河が削った跡なんですね。山のあちらこちらからは、雪解け水が無数の滝となってフィヨルドにそそいでいます。清らかな波ひとつない水面は、鏡のように山や雲、鳥、すべてを映し、心も洗われるように澄んでいます。時々、イルカやアザラシを見かけることもあるそうで、海水の湾であることがわかりますね。
この美しい景観が出来るまでの遥かなる時間を思うと、人間の傲慢さを恥、自然の前では抗えず、ただただ無力なのだと感じずにはいられません。
目に見える範囲だけでも、ここになにか魔力のようなものが潜んでいる気配を感じます。これがノルウェー伝承の妖精“トロール”でしょうか。「ここから先は触れるな!」と警告を発しているように、人間界とは一線を画した美しい世界がどこまでも続きます。
こっちに乗りたかったが、まにあわず・・・ | 小さい方の船で。 |
手にとまりそうなカモメの群れ | 海からいきなり山。 これがフィヨルドです。 |
無数の雪解け水が滝となり、 フィヨルドに注ぎます。 |
うわさのトロール。 |
フェリーはグドヴァンゲンに到着し、ここからヴォスまでバスで移動します。急なつづら折の山道をぐるぐると登ります。頂上に忽然と姿を現す“スタルハイムホテル”で小休憩。ここの売店に、いました!いました!トロール。かわいいというより、ちょっとこわい!?ですよね。
ノルウェーでは、なにかモノがなくなったりすると「トロールのいたずら」と言われるそうですよ。
休憩を済ませるとバスは、ぐるぐると下りヴォスを目指します。1時間半、ずっとぐるぐるの山道ですが、景観がすごすぎてバスに酔っている暇などありません。
ベルゲン駅の時計は20:40。 まだ昼間のように明るい。 |
夏を告げるライラック。 |
早朝ホテルを出発してから、なかなか終わりの見えないフィヨルドの旅ですが、いよいよ最終移動。ヴォスから再び列車に乗り、ベルゲンへと帰ります。
21時前、ベルゲン到着に到着。空はまだ青く陽が差していて、薄紫のライラックが木漏れ日を作ります。長い長い一日。トロールにいたずらされて、一日が終わらないような気がしてきます。夕食をすませてホテルに帰ると、ふかふかのベッドに体を横たえ、心地よい疲労感に包まれました。
目に焼きつけた美しい景色、そして今日出会った人たちを思い出しながら目を閉じます。
この土地の人たちのもてなしや温かさは、自然なふるまい、穏やかな笑顔となってにじみ出ていて、大いなる自然の中で、守り守られながら共存しているように感じます。人もフィヨルドと一体となって、訪れる旅人を迎えるのです。
いつしか気づけば、私の心からも波風は消え、景色に人に癒され、ゆっくりと心も体も浄化されていた、そんな旅となりました。
次回は、ベルゲンの様子をお伝えします。
お楽しみに。
投稿『ノルウェー/ フィヨルド・ベルゲンの旅』ドロッペさんのハーデソーブラーは海外旅行保険 の最初に登場しました。