2026.8月号 編集部だより【失敗も、寄り道も、旅のうち】
2026年07月25日 category:編集部だよりみなさまこんにちは。
今回の特集は「旅慣れた人が実践している、機内快適術」。長いフライトを少しでも心地よく過ごすための持ち物や服装、機内での工夫など、経験を重ねてきた人だからこそ知っている知恵をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
どれだけ旅に慣れていても、準備を万全に整えていても、予想外の出来事に遭遇したり、不可抗力のトラブルに巻き込まれたりすることはあります。そして、案外エラーが起こりやすいのは、旅に少し慣れてきた頃なのかもしれません。
初めて訪れる場所では、一つひとつ慎重に確認するもの。それが何度か経験を重ねると、「たぶん大丈夫」「いつもと同じ」と、どこかに油断が生まれます。私にも、その瞬間には冷や汗が止まらなかった、忘れられない旅の失敗があります。
画像:iStock
大きな失敗は二つ。
一つ目は、もう40年ほど前、ハワイを訪れたときのことです。朝に到着し、ホテルへチェックインするまでの市内観光でパールハーバーを訪れました。
バスの集合時間までベンチに座り、バッグの中を整理していたのでしょうか。「お財布よし、パスポートよし」と確認していたのかもしれません。ところが、バスが走り出してしばらくして、肝心のバッグをベンチに置き忘れたことに気づきました。
運転手さんにお願いして引き返していただく間、頭の中は「なんで? どうしよう?」の嵐。ほかの乗客の皆さんにも迷惑をかけているし、財布もパスポートも入ったバッグが見つからなかったら……。そんな不安を抱えながらバスを降り、走って戻ると、バッグは座っていたベンチにぽつんと残されていました。
見つけた瞬間の安堵感と、何も盗られていなかった奇跡への感謝。これは、その後の旅にしっかりと生かされた大きな教訓です。
もう一つは、コペンハーゲンからヘルシンキへ移動し、帰国の途につくときのこと。
両都市には1時間の時差があるのですが、そのことがすっかり頭から抜け落ちていました。乗り継ぎまでまだ1時間あると思い、最後まで決められなかった職場へのお土産をのんびり物色していると、空港に流れたのは聞き覚えのある名前。
「ん? 私の名前? ラストコール?」
出発時刻が早まったのかと思いながら、とにかく走りました。ゲートを抜け、連絡バスに飛び乗ると、本当に私が最後の乗客。乗った途端にドアが閉まりました。
飛行機が出発してから、自分の時計と機内モニターの時刻がずれているのを見て、ようやく気づきました。
「そうだった、時差1時間あるやん!」
何度も訪れていた北欧だからこそ、国内を移動するような感覚になっていたのでしょう。間に合った安堵より、乗り遅れていたかもしれない事実に気づいた後の方が、背筋が寒くなりました。
小さな失敗なら、ほかにもたくさんあります。電車やトラムの方向を間違え、目的地とは逆へ行ってしまうのもその一つ。でも、そんな間違いが思いがけない発見につながることもあります。
初めてのヘルシンキでは、反対方向のトラムに乗ったことで、当時のガイドブックには載っていなかった蚤の市を見つけました。「時間を無駄にした」と焦るのではなく、見る予定のなかった景色の中に新しい何かを発見する。それも旅の面白さです。
思えば、携帯電話もスマートフォンもない時代、私たちは自分の勘や嗅覚を頼りに海外を旅していました。
今ではスマートフォンが行動範囲を広げ、迷ったときには正しい道を教えてくれます。けれど旅は、名所を巡って「行きました」「見ました」と印をつけるスタンプラリーではありません。「すごい」「かわいい」「おいしい」の、その先にある気持ちを自分の言葉で表してみる。そうすることで、感性や知的好奇心も育っていくのではないでしょうか。
失敗も、迷い道も、偶然の出会いも、すべてひっくるめて旅。
皆さんにも、今だから笑って話せる旅の失敗はありますか。
それではまた来月〜
(編集部anan)
投稿2026.8月号 編集部だより【失敗も、寄り道も、旅のうち】は三井住友海上 海外旅行保険の最初に登場しました。
