このGW10連休を利用した海外旅行は「3泊4日」「4泊5日」が最も多く、アジア圏が人気のようです。楽しい旅行ですが、海外旅行中は、環境が変わり疲れもたまり、体調を崩しやすくなります。また日本で暮らしている時より感染の危険が高まるリスクもあります。GW海外旅行の行き先で、の感染症について、どのようなものがあるか知っておきましょう。
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人気の行き先アジア圏
食べ物や飲み物による下痢が最も多く報告されています。アジア圏を中心に行き先別に見ると、中国ではA型肝炎、はしかが流行中。東南アジアでは、都市部の繁華街であっても蚊に刺されデング熱にかかるケースもあります。野犬の多い国では、狂犬病に注意する必要があります。
■帰国後におかしいなと思ったら、持病があったり体力に自信がない方は渡航前にも、トラベルクリニックを受診しましょう。
■いつもの薬、保険証、お薬手帳を持っていきましょう。
■どの地域にどのくらい期間滞在するのか、どんな現地行動するか? 地域・国の病気情報を調べて、予防接種を受けましょう。
日本渡航医学会のHPで日本国内のトラベルクリニックが検索できます。
ワクチン・予防薬の一覧をご参考ください。
次に、注意したい主な感染症について見ていきましょう。
世界中で流行中
■麻しん(はしか)
麻しんは世界中で発生しており、特にアジア、アフリカ、ヨーロッパで多く報告されています。海外の流行地で感染した渡航者により日本で麻疹の流行を引き起す事例がしばしば 報告されています。潜伏期間があるため帰国後も注意が必要です。
麻しんウイルスは、簡単に人から人に感染します。(空気感染、飛沫感染、接触感染などの様々な経路で感染します)。 感染力は非常に強く、免疫が不十分な人が感染すると高い確率で発症します。
学校保健安全法施行規則では、麻しんに罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。
WHO発表2017年9月~2018年2月の麻しん発生国別ランキング
1. インド…18,515件
2. ウクライナ…6,184件
3. ナイジェリア…3,157件
4. セルビア…2,822件
5. パキスタン…2,822件
6. インドネシア…1,959件
7. ギリシャ…1,740件
8. フィリピン…1,684件
9. 中国…1,567件
10. マレーシア…1,167件
【主な症状】
麻しんに対する免疫が不十分な人は、感染すると約10日後に発症します。したがって、海外渡航者においては、海外で感染した場合でも、帰国後1週間以上たってから発症する場合もあります。発症すると、高い熱や全身の発しん、せき、鼻水、目の充血が現れる。肺炎や中耳炎になることがあり、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発生すると言われています。
【予防策】
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。麻しんの予防接種が最も有効な予防法です。海外渡航を計画している場合、定期予防接種対象者*だけではなく、麻しんにかかったことがない方、麻しんのワクチンを2回接種していない方は、予防接種を検討することをお勧めします。
食べ物や水が原因の食中毒・感染症
■水あたり
海外の水は一部の地域・国を除いて、ほとんどが硬水です。必ずしも衛生的ではなく、安心安全な軟水に慣れた日本人は、海外の水に抵抗力がなく、水アタリを起こしてしまいます。
海外での水分摂取は、ミネラルウォーターを飲むようにしていても、レストランや屋台で出された水、サラダなどの生野菜を洗った水、歯磨きやシャワーの時の水でもあたってしまうことがあります。ジュースに入った氷にも注意しなければなりません。また、アジアなど路上の屋台で売っているものは、ウイルスや雑菌など衛生上の問題や、火を通していても食用油でも食中毒になることがあります。ホテルにウェルカムフルーツは、皮を剥いてから食べる、テーブルに置きっ放しのケチャップやソース類は使わないなども予防になります。
原因となる菌やウイルスによっても潜伏期間が異なり、食べ方にもよりますが、早くて、だいたい30分くらいで症状が出ることがあります。長い場合は8日間、つまり帰国後に発症する場合もあるということです。
症状のほとんどが、下痢や嘔吐。トイレから出られなくなり観光が一切できなくなった例も少なくありません。持参した下痢止めを飲む場合、体の中に菌が留まることになり、返って長引く結果となることがありますので、きついですが体の排出反応にまかせて、ひどい場合は現地で受診しましょう。脱水になりやすいので、飲むのがきつくても水分摂取は大切です。
■E型肝炎
主な発生地域:世界各地
主な症状:発熱、倦怠感、黄疸
予防策:十分火の通った食べ物を食べる。生肉は食べない。
■A型肝炎、赤痢、腸チフス、コレラ
主な発生地域:世界各地(特に水道整備が整っていない地域)
主な症状:A型肝炎の症状は、発熱、倦怠感、黄疸。赤痢は、発熱、激しい腹痛と血便を伴う下痢。
腸チフスは、下痢、持続的な高熱と頻脈、倦怠感。コレラは、大量の水様便、嘔吐、
脱水。
予防策:十分火の通った食べ物を食べる。生水は飲まない。
※A型肝炎は予防接種有
蚊が媒介となる感染症
■マラリア
マラリア原虫を保有した蚊(ハマダラカ)に吸血された際に感染する。毎年世界中で約2億人の患者が発生し、約43万人以上の死亡者がいると報告されています。
主な発生地域:
アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布。なお、近年、マラリア制圧に成功していた、韓国でも、国内感染例が確認されている。夜間は特に注意。
主な症状:
マラリア原虫の種類により異なるが、7日以上の潜伏期ののち、寒け、発熱、息苦しさ、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛など。迅速かつ適切に対処しなければ重症化し、死亡する危険がある。
予防策:
長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。虫除け剤や蚊帳等の使用により蚊に刺されないように注意する。特に、夜間の屋外での飲食や外出時に注意する。2週間以上流行地に滞在し、野外作業等に従事する場合は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされている。
■デング熱
ウイルスを保有する蚊(ヤブカ類)に吸血された際に感染する。 世界中で毎年約5,000万~1億人の患者が発生していると考えられています。
主な発生地域:熱帯・亜熱帯地域(アジア、オセアニア、アフリカ、中南米、中東)昼間は特に注意
主な症状:
2~14日(多くは3~7日)の潜伏期ののち、突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。デング熱患者の一部は重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがある。
予防策:
長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。媒介蚊は日中、都市部の建物内外に生息しているので、屋外だけではなく屋内でも虫除け剤の使用等によって、蚊に刺されないように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。
※蚊が媒介する感染症の一部です。
動物から感染する
■狂犬病
動物(アジアでは特に犬)に咬まれること。犬だけでなく猫、猿に噛まれた場合も感染することがあり、感染後発症した場合100%死に至る恐ろしい病気です。人気の行き先となっているアジア圏では特に注意が必要です。可愛いからといってむやみに撫でたり、近づいたりしないようにしましょう。
狂犬病はアジアのみならず、北米・ヨーロッパでもアライグマ、スカンク、キツネ、タヌキ等、野生動物での狂犬病発生の事例が報告されています。
【主な症状】
通常、1~3か月の潜伏期間ののち、発熱、咬まれた部位の知覚異常が現れます。恐水、恐風症状などの特徴的な症状の他に、神経症状(不安発作、嚥下困難(飲食物が飲み込みにくくなる)、けいれん)が見られ、有効な治療方法はなく、発症したらほぼ100%死に至ります。
【予防策】
犬等(猫、野生動物を含む。特に飼い主の分からない動物。)にむやみに近付かないようにします。特に小さなお子さんを動物のそばで一人にさせてはいけません。もし犬等に咬まれたり引っかかれたりした場合は、傷口を石けんと水でよく洗い、速やかに現地の医療機関を受診し、適切な処置を受けた上で、狂犬病ワクチンの接種について医師に相談してください。
※感染動物に咬まれた直後に狂犬病ワクチンの連続接種を開始することで、多くの場合、発症を防ぐことができます。
海外では高額な医療費がかかる
海外旅行の準備は、持ち物や現地情報収集だけではありません。行き先の感染症など病気の情報、予防接種、海外旅行保険で備えることも、準備の上でとても大事なことです。
海外旅行保険について
以下、厚生労働省検疫所HPからの引用です。
海外でも日本と同じような医療を受けられると思っていらっしゃいませんか。実際のところ、国によっては大きなケガをした場合など、十分な治療ができない場合もあります。ご自分で動くことができなくなってしまったなら、治療設備の整った地域(場合によっては日本)への空輸などに1,000万円を超える多額の費用がかかることもありえます。日本からご家族を呼ぶ必要も出てきます。
また、一般に海外での医療費は日本と比べると非常に高額です。かぜのような症状で、ちょっと検査をしたら数万円は普通です。また、治療に先立って所持金の確認をされたり、一時金を要求されたりすることもあります。
FORTH 厚生労働省検疫所 海外で健康に過ごすために
「いざという時の旅行保険」
心配や不安ばかりでは、せっかくの旅行が楽しめなくなってしまいますが、渡航先の情報をよく調べ、準備万全にお出かけくださいね。
投稿【GW海外旅行】旅行準備は、病気の情報を知ること、予防接種、海外旅行保険は三井住友海上 海外旅行保険の最初に登場しました。