アンティーク路面電車でベルリンを走ろう!

2019年11月19日 category:ドイツ | 世界の街から

どうしてこんなに古いモノに惹かれるのでしょう。温かみを感じる色カタチ、素材感、丁寧に造られ、愛着を持って使われてきたものは、新しいものに敵わない魅力があります。過ぎ去った時間への懐かしさや愛おしさも加わるからでしょうか。今回は、おなじみ「おさんぽベルリン」から、久保田さんが紹介するアンティーク路面電車のイベントの話題をお伝えします。ドイツが好きな方、古いものが好きな方、乗り物好きの方、また、そうでない方もどうぞお楽しみください。

★★★

 

さまざまな年代の路面電車に乗って、まだ知らないベルリンへ

 いつものAlexanderplatz(アレクサンダープラッツ)駅の路面電車(トラム)乗り場が、その日だけ過去に逆戻りしていました。
 そうなんです、その日はアンティーク路面電車が特別走行をする日だったんです! 月1回開催されるこのアンティーク路面電車走行イベント、次回は2019年10月20日(日)の開催です。わたくしライター久保田由希は先月(9月)に初めてこのイベントに参加してきたので、その模様をご紹介します!

■ざっくりと、どんなイベント?

 このイベントの名称は ”Themenfahrt Straßenbahn Berlin”(テーメンファールト・シュトラーセンバーン・ベルリン)。 直訳すると、「ベルリン、テーマを掲げた路面電車走行」って感じです。

 主催はDenkmalpflege-Verein Nahverkehr Berlin e.V.。これも直訳だと「社団法人文化財保護団体・ベルリン近距離交通」という感じでしょうか(勝手に訳すといけないので、固有名詞はオリジナルのドイツ語で挙げています)。

 内容は、1900年代初頭や70〜80年代製の路面電車に乗って、ベルリン市内を約2時間半走るというもの。走行中に各車両に乗った車掌さん(これまたレトロな制服の出で立ち)のガイド付き(ドイツ語)です。
 事前予約は不要で、開催日時に出発地点の停留所に行って車内(自由席)で出発を待つだけ。料金は出発後に車掌さんが回収に来ます。お値段は大人6ユーロ、子ども(6〜14歳)3ユーロ。とっても良心的じゃないですか? 

 路面電車が走るコースは、毎回異なるようです。
 私が参加したのは、2019年9月の回。アレクサンダープラッツ駅から出発して、Friedrichshain(フリードリヒスハイン)地区経由でHohenschönhausen(ホーエンシェーンハウゼン)まで行き、そこから折り返して出発地点まで戻りました。所要時間は約2時間半。途中で休憩が2回あり(うち1回はトイレ休憩、あとの1回はお土産販売もあり)。車内では飲み物の販売もあります。旅行者にも在住者にも楽しめると思います。
 出発地点の地図など詳細は、この記事の最後にある情報欄をご覧ください。

■2019年9月のイベントはこんな感じでした

 開始時刻の11時より20分ぐらい前に行ってみると、いつものトラムの停留所に華やかでレトロな路面電車が停まっています。この光景、私はこれまで何回か目にしたことがありました。調べてみたら、こういうイベントがあることを知って、私も体験しに来たのです。

みんな興味深げに見ています

 車両の付近には、いろいろな種類のレトロ制服で決めた車掌さんが複数人います。「チケットを買いたいんですけど」と聞いてみると、「車内に乗って待っててください」という返事。言われた通り、乗車して待ちます。
 どの車両のどの席に座ってもいいとのこと。停まっているのは、いかにも古そうなクリーム色をした車両が3両と、それよりもだいぶ新しそうな赤とオレンジ色のがそれぞれ1両ずつ。迷うけどクリーム色のほうがいいかな、と乗車しました。私が停留所に到着したのは、出発時刻の約20分前。その時点で席は8割ほど埋まっていました。ちなみに、車両前後にある立ち乗りスペースのところに乗車しても大丈夫でした。

好きな車両に乗って待ちます

レトロな車内広告に、気分が盛り上がります

 定刻になり、路面電車は走り出します。すぐに車掌さんが乗客に挨拶し、料金回収にやってきました。
 古い路面電車はガタガタガタ……と大きな音と振動とともにベルリンの街を走ります。車掌さんはよく通る声で「この車両は1910年頃にできたもので、20年代と50年代に改造されています……」と説明してくれました。

モスグリーンの制服着用の車掌さん。この車掌さんは走行中、ずーっと周辺地域を説明してくれました

切符もアンティーク風

 古い車両だからか、振動が通常のものよりも大きく、乗っているうちに車両自体が壊れやしないか心配になりました。当たり前かもしれませんが、最新の車両って静かだったんですね。比べてみてわかりました。でもその振動や音もアンティーク車両の醍醐味というもの。
 路面電車はレールの上でないと走れないので、当然ながら既存のルートを走るわけですが、いくつもの路線の区間を組み合わせたこのイベントオリジナルのルートです。このイベントで、私が初めて知ったエリアもありました。ベルリン市って、やっぱり広いです(東京23区の約1.5倍)。

 走行30分ほどで1回目の休憩。停まったのは、フリードリヒスハイン地区の広い停留所。一角には公衆トイレもあるので、必要ならば用も足せます。こんなところにトイレがあったとは! 大発見でした。

トイレ休憩兼撮影タイム


KT4D 219 481(オレンジ色)と219 282(赤)というモデル。1980年代に運行していたとのこと

 

 10〜15分ぐらい休んだでしょうか。その間路面電車は停車しているので、乗客たちが我も我もと写真を撮っています。みなさん撮り鉄&乗り鉄なのでしょうかね。ちなみに中高年男性が多かったです。
 休憩後は、別の車両へ。すべて自由席なので、休憩を挟んで皆自由に席を移動していました。せっかくですから、なるべくたくさんの車両に乗ってみたいのが人情ってもんです。車両を移ってわかりましたが、今度の車掌さんはほぼ何も説明しない人でした。最初の車掌さんのところに乗ったのはラッキーだったんですね。

 車両は一路、緑のなかへ。とっても気持ちいい区間です。
緑がまぶしい

 そしてホーエンシェーンハウゼンを通り抜け、2回めの休憩に。このときはトイレはありませんでしたが、その代わりにお土産販売がありました。マニア垂涎の品でしょうか(マニアでないのでわからず)。そして、やはりみなさん撮影には熱心です。「ちょっとそこ、どいてもらえますか」と、路面電車の前で記念写真を撮っていた人に声をかける乗客もいて、さすがドイツ人、表現がダイレクト!と感心しました。

この写真を撮っている周りで、大勢の乗客が同じように撮影していました

お土産として販売しているアンティークの運行パネル(という名称があるのかわかりませんが)。今日の記念にいかが?

 2回めの休憩が終わると、あとは出発地点へと戻る帰路の旅。私は最初の車両に戻り、熱心に説明してくれる車掌さんのもとへ。復路のコースは往路と一部重なっていましたが、往路のように回り道をせずに短距離で戻りました。

 出発地点のアレクサンダープラッツ駅停留所に到着して解散。そこにいた人々は、いきなり走行してきたアンティーク路面電車を「なになに?」という表情で見ています。このイベントは11時と14時の2回開催されており、私は初回の運行に参加したので、到着後は次の乗客たちがすぐに乗り込んできました。

 アンティーク路面電車に乗ること自体が楽しいですし、知らないエリアを発見できるのも面白いこのイベント。次回は10月20日(日)の11時と14時の開催です。11月は10日(日)。12月はお休みですが、ポツダムでグリューワイン(スパイス入りホットワイン)付きクリスマス走行があります。
 つまり、今年のベルリンでの走行はあと2回! どうかお見逃しなく!!

Themenfahrt Straßenbahn Berlin(テーメンファールト・シュトラーセンバーン・ベルリン)
運行日時 2019年は残すところ10月20日(日)、11月10日(日)の各日11時と14時。2020年以降は下記URLを参照のこと。
URL http://www.dvn-berlin.de/
出発地点 Alexanderplatz駅トラムM2線停留所 マップ→https://goo.gl/maps/2naNQXwo5gy7JJwq5

 

 

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