特集:ウィーン

2014年03月12日 category:ウィーン特集

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Peterskirche - Vienna, Austria
Peterskirche – Vienna, Austria / Ethan Prater

オルガンコンサートを待つ僕の隣で
君はザッハーとデーメルの話をする。
巨匠が手がけたバロック装飾に囲まれて
僕がロットマイヤーの天井画に夢中なとき
君は甘いトルテに思いを馳せる。
僕はどうしようもない溜息を
努めて爽やかな笑顔に紛らす。
そうだ。これがふたり旅だ。


トラム加工

オーストリア共和国の首都、ウィーン。

ウィーンは、華麗という言葉が似合う街である。そしてその理由を、ハプスブルク家を抜きにして語ることはできない。なぜなら、約650年に渡ってこの地に君臨したハプスブルク家が美しいと感じ、こよなく愛したものでウィーンという街が出来ているからだ。

ハプスブルク家の夏の離宮「シェーンブルン宮殿」をご存知だろうか。黄色の外壁が眩しい宮殿である。これは「テレジアン・イエロー」と呼ばれ、国母と慕われる女帝マリア・テレジアの好きな色に塗装されたものだという。ちなみにこの宮殿は、6歳のモーツァルトが7歳のマリー・アントワネットに求婚したという有名なエピソードの舞台でもある。

もちろん、ハプスブルク家の遺したものは建造物だけではない。名だたる芸術家を育て、都と称されるまでに音楽を発展させた功績も、麗しき遺産である。

モーツァルト、ベートーベン、シューベルト、シュトラウス、ハイドン、マーラーなどの音楽家が、ウィーンの空を見上げて美しい旋律を口ずさんだ背景には、それを求め、援助したハプスブルク家の存在がある。味覚についても同様で、もしもハプスブルク家が甘味を愛する一族でなかったら、これほどまでにウィーンの菓子店に豊富なスイーツが並ぶことはなかっただろう。

戦いではなく、結ばれることによって発展させることを家訓としたハプスブルク家。ウィーンに流れるどこか穏やかな空気は、こんなところに通じているのかもしれない。

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